poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

2018-05-29から1日間の記事一覧

放課後の終わりに

放課後の終わりに 三階建て鉄筋コンクリートの校舎とある小学校の一階東北角の一室ぼくの昼はそこで生きている放課後児童指導員それがいまのぼくの仕事 月曜から金曜まで放課後が始まり 放課後が終わるまで喧噪という旅のなかで ぼくは 宝物をさがしている …

巨人

巨人 ぼくのなかに極小のぼくがいるそれが物質なのか非物質であるのかわからないおそらくはその中間に存しているのではとぼくは踏んでいるきのうの夜 初めてその存在に触れたのだがそいつはグッタリと弱っていたのだった 極小のぼくのことをキョクボクと名付…

山頂

山 頂 阿夫利神社奥宮へ向かって中国人が呪文を唱えてる無事、無事、無事、人生無事擦過する日本語が交じって吐息がたなびく ぼくは透視する冷たいぬかるみを踏み込んできた登山靴の中のかわいそうな小指たちをぼくはキスをする太陽の前に並んだ霜柱 そのむ…

不時着

不時着 しあわせはフシアワセよりも多くのものを見ていない しあわせときどきフシアワセフシアワセときどきしあわせ わたしたちの凡庸は郊外の横断歩道に生きながらえている ときに暗喩と直喩で成った人生で砂漠のまんなかに不時着してしまった者を人はフシ…