poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

ビリっと風景を破く

 ビリっと風景を破く


それでも漆黒は現われず
ならばと
言葉のなかへ踏み込み
景色を形容せずに
分解するのだが
どこでもないところに抽象は
浮かんだまま
なにものにもならない
快楽に満ち
以前の以前をリピートする

現場の音のなかに
存在を置くも
風景ではないものの
処理を
紙を裂くようには
いかないものかと
一部でもない人たちが
思案の縁から落ちないよう
風景の隙間に立ち
唇に指を当て続ける