一色海岸の部屋
波の音が今日の最果てまで
やってこないかなあ
風がこのカラダを
今すぐ骨だけにしてくれたらなあ
砂の上に何もかもが透明な部屋
さっきみたブルーノ・ムナーリの
潔く矩形と成った「額もまた」が
さっそく壁に掛けられる
部屋のゆかに腰を下ろして
ぼくは砂のなかの風を眺める
耳が海にノイズを流している
目が臼をまわす音をとらえている
地球がピカピカと表面を
発信している
波打際から透明なイヌが
からからと走ってきて
ぼくの胸に飛び込む
なまぬるい!
鼻の穴が笑う
部屋はそのままにして
じゃあ帰りましょう
砂と話し込みながら
海にもう夕陽はいらないな
2018/05/13