poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

私は稲垣足穂の自信が

私は稲垣足穂の自信がどこからくるのかを考えてしまう。彼には世俗的な幸福など眼中にない。人に、文壇にどう思われようと、平気なのだ。彼の日常は、ミミズに水をやり、ネズミの通路に小さいパンを置き、庭のびわの木のびわは鳥に残してやれと云い、猫の世話をし、お米のとぎくずは庭に撒いて雀にやると聞く。芸術家はかくあるべきと思う。お金も名声も要らない。よい作品を書きたいと思う。

『虚空 稲垣足穂』折目博子