poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

スーパーボール

スーパーボール

 それは落とさなくては
ならないものなのだが
それを手のなかで握れば
なんでも出来る気がした
空だって飛べないことはないのだが
だれもまだ飛んではいなかった

木造校舎の2階から
真昼のコンクリートめがけて
らっか!

鼻から牛乳
椅子引き
スカートめくり
新藤先生のゲンコツ
いつものエピソードに
小さな奇跡が加わる

でもそれは
腕を伸ばしたすぐ先で
地球の重さに手繰り寄せられる

窓から身がおどり出る
ぼくはまだ空を飛んでない
飛べないことはないのだが
それはいつかやってみることにしよう

それは落とさなくては
ならないものなのだが
それを手のなかで握れば
なんでも出来る気がした
きんこんかんこおん
きんこんかんこおおん
2時間目が始まる 

2018/05/21