poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

曲がり方

曲がり方 

7億の詩人が曲がる
競っているのは
その曲がり方にある
しかし
どこまでも曲がっていくことは
むつかしい
あるところでは
直線を否めず
牧場で大の字になったり
地下鉄で爆殺されなければならない

外はおそろしい世界で
洞窟や地上、樹皮に形象を
描けばヒトは安らえたが
ほんとうにおっかねえやつは
コトバのなかからあらわれた

石や矢が宙を飛んでいたころ
何人かの頭蓋のなかで
ピクリと動くものがあった
それは啓示ではなくバグで
以来、神は永らえた故障でもあった
人類史が没するまで
まっすぐ、神は進む

7億の詩人は
かがやく宇宙の微塵となり✳︎
天の川銀河の真下
種山ケ原で曲がり切って
電脳宇宙にタッチ
それから
血と肉を離れ
光年の旅へ

✳︎宮沢賢治『農民芸術概論概要』より引用
「まづもろともにかがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう」 

2018/05/27