『オローニの日々』ーサンフランシスコ先住民のくらしと足跡 マルコム・マーゴリン著
図書館から借り、買うべき本だと思い10数頁読みすぐに返した本。結局手に入れず10年程過ぎた。ふと思い出して再び借りる。読み始める。やはりこれは買うべき本だと思う。豊穣な自然のなかで生きる先住民の暮らしが目に見えるように語られる。内に眠る遺伝子が共振し、あたかも体験したかのようにありありと身体が反応する。自然を糧とする人びとの濃厚な世界にどっぷりつかれるという点では石牟礼道子『苦界浄土』を思い出した。
さかきななおが原書を持ち帰り、そして邦訳が生まれた曰く付きの本でもある。ペーパーバック風造本の触感も味がある。ななおと縁深い「人間家族編集室」が出版。翻訳は富岡多恵子。すばらしい文章。何度読んでも楽しめるだろう。