を
傾いだ鳥のちいさな頭を
突き刺さった空の小枝を
凍った雲を
地下深く
広げられた翼を
十三歳の冬の精嚢から
天井を飛ばした晩を
ミルクがほとばしった夜空を
モルタル校舎の西階段を駆け上がった
白いソックスを
グランドの蒼天から落ちて来た
踊りまくっている
1969年製ロックンロールを
バスのなかのすかすかを
うれしがるじいさんを
シャツからギンガムチェックを
地下室から非常口を
瞳のまんなかの微笑を
卑猥で純粋で悲しみの大好きな
なつかしい弾丸を
通りすがりの人の視線を
視線が巻きついたままの脳幹を
指に一本のあなを
耳の岸辺を
ヘッドホンの出帆を
国会正門前
倒された鉄柵の上を
を
を
を
詩集『シャドーボクシング』より