poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

 

 


傾いだ鳥のちいさな頭を
突き刺さった空の小枝を
凍った雲を
地下深く
広げられた翼を

十三歳の冬の精嚢から
天井を飛ばした晩を
ミルクがほとばしった夜空を

モルタル校舎の西階段を駆け上がった
白いソックスを

グランドの蒼天から落ちて来た
踊りまくっている
1969年製ロックンロールを

バスのなかのすかすかを
うれしがるじいさんを

シャツからギンガムチェック
地下室から非常口を

瞳のまんなかの微笑を
卑猥で純粋で悲しみの大好きな
なつかしい弾丸を

通りすがりの人の視線を
視線が巻きついたままの脳幹を

指に一本のあなを
耳の岸辺を
ヘッドホンの出帆を

国会正門前
倒された鉄柵の上を



 

   詩集『シャドーボクシング』より