poetoh

大島憲治の詩とエッセイ、フォト、自由律俳句を紹介。既刊詩集『イグナチオ教会通り風に吹かれる花のワルツ』(書肆山田) 『東京霊感紀行』(竜鱗堂) 『センチメンタルパニック』(私家版) 『荒野の夢』(蝶夢舎)『シャドーボクシング』(蝶夢舎)

竜巻

 

 竜巻

 

たくさんの竜巻が

目の前で身を捩る

黒い天と黒い地を繋ぎ

紙に描かれた美しい竜巻

映像ではだめなのだ

録るということではだめなのだ

竜巻は描かれなくてはいけない

スナップを利かせ

五指を振動し

シナプスを発光させ

白紙のなかに竜巻を出現させる

竜巻とは地平線とともに

DNAにしまい込まれている極微の現象

地上に竜巻のほか昇り上がるものはない

純粋な世にも美しい竜巻が

天と地を繋ぐ

朝に夕に視覚の何処かに発生させようか

線と粒子の形象は

小さな圧倒で紙のなかに巻き上がる

わたしという嵐だ

 

  inspired by  〈竜巻〉鴻池朋子

 

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鴻池朋子〈竜巻〉2020年